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JASSO返還免除制度(後半)

この記事は、日本学生支援機構の「特に優れた業績による返還免除制度」(以下、JASSO返還免除制度)の解説記事の後半です。これから申請しようと意気込んでる人向けに書いています。制度の概要をお知りになりたい方は前半の記事をお読みください。

おことわり

私は、修士課程で借りたJASSO第一種奨学金にたいして返還免除を申請し、半額免除に認定してもらいました。その経験をもとにこの記事を書いていますので、以下の内容は修士課程の貸与終了者向けのものになります。ただし、博士課程の貸与終了者の場合も概ね同じ内容なので参考になるところもあると思います。ちなみに後述する業績の種類2と3の部分のみ評価が異なるようです。詳しくは公式ページをご確認ください。

目次

  1. おことわり
  2. 申請から結果が出るまで
  3. 評価項目
  4. 各項目の解説
    1. 1 学位論文その他の研究論文
    2. 2&3 研究成果と試験に対する評価
    3. 4&5 著作物等と発明
    4. 6 授業科目の成績
    5. 7 研究・教育補助業務
    6. 8&9 芸術・スポーツの成績
    7. 10 ボランティア活動等
    8. 11 その他
  5. 力を入れるべきポイント
    1. 1-1 学位論文
    2. 1-2 研究論文
    3. 1-3 学会発表
    4. 1-4 表彰・外部資金の獲得
    5. 1-5 学振特別研究員の内定等
  6. まとめ
  7. おまけ:参考ページ

申請から結果が出るまで

JASSO返還免除制度の申請のタイミングは、貸与終了時です(返還免除内定制度は進学前後のタイミングらしいので、各大学にお問い合わせください)。具体的に言うと、私の所属研究科では、1月中旬に案内メールがきて、1月下旬に必要書類の提出締切がありました。ということは、実際の申請書作成には半月ほどしか時間をかけられないので、可能ならば1年前から様式を取得しておくことをおすすめします。

結果については、申請から半年後の7月頃に自宅住所に直接ハガキが届きました。一応そのハガキが認定証になるみたいで、免除の内容と金額(全額か半額か)が載っています。

推薦枠に入ったかどうかとか、認定されたかどうかとか、大学の教務掛と逐一連絡をとった記憶はないので、たぶん書類提出の時だけお世話になって、後はほったらかしだったと思います。

評価項目

JASSO返還免除制度における評価は、学業/研究にかんする業績+課外活動にかんする功績がポイントとして加算されていきます。まずは項目を確認してみましょう。

特に優れた業績と評価方法(抜粋&一部編集)

  • 1 学位論文その他の研究論文:学会発表、研究発表にかかる表彰、奨学金や外部資金の獲得、特別研究員の内定等
  • 2 大学院設置基準第16条第1項に定める特定の課題についての研究の成果
  • 3 大学院設置基準第16条の2に定める試験及び審査の結果
  • 4 著作物:著書、データベース等
  • 5 発明
  • 6 授業科目の成績
  • 7 研究又は教育に係る補助業務の実績:リサーチアシスタント、ティーチングアシスタント等
  • 8 芸術関係の発表会における成績
  • 9 スポーツの競技会における成績
  • 10 ボランティア活動等の実績
  • 11 その他機構が定める業績

各項目の解説

では、それぞれの項目について、私なりの解釈やアドバイスをたれてゆきます。

1 学位論文その他の研究論文

細目として、学位論文、研究論文、学会発表、研究発表にかかる表彰or外部資金の獲得、学振特別研究員の内定等が含まれます。できる限りすべての細目をうめれるように頑張りましょう。1番ポイントを荒稼ぎしやすく、かつライバルと差をつけやすい部分です。1番重要な項目なので詳しくは後述します。

2&3 研究成果と試験に対する評価

2は学位論文にたいする評価、3は入学試験にたいする評価と考えていいと思います。教授会での審議にもとづくはずです(JASSO返還免除制度に向けて改めて審議するわけではない)。本人の頑張りと他者からの評価が比例するとは限らないので、ポイントの稼ぎ口としてはあまりあてにしない方が賢明です。

4&5 著作物等と発明

これにかんしては、持ってるだけでレアです。研究分野によるところも大きいですが、修士課程のうちに獲得するにはハードルが高すぎるので、ここは無視していいと思います。

6 授業科目の成績

推薦される学生は成績優秀で当たり前なので、どちらかというと落とさない(優/Aより下の成績を取らない)よう気をつけることが肝心です。

が、しかし。私の失敗談もお伝えしておきます。私は、学部の時からのクセで(GPAをあげる魂胆で)必要不可欠な数以上の単位を取らないようにしていたのですが、それが裏目にでてしまいました。教務掛に書類提出した際に「もうちょっと頑張って授業単位取ればよかったのに」というようなことを言われてしまったのです。あくまで推測ですが、私はライバル(全額免除枠を勝ち取った同期)にここで負けてしまったのだと思われます。もちろん他の項目でも少しずつ負けを重ねた可能性も否めませんが、全額免除枠は4人中1人しか勝ち取れないので、この単位数が足を引っ張った可能性が高いと考えています。つまり、授業科目の成績は、ライバルと差のつきにくい部分ではありますが、侮るなかれ。頑張って大学に通って、授業受けましょう。

7 研究・教育補助業務

これにかんしては、評価ポイントだけでなくお給料まで稼げて一石二鳥なので、とにかくやりましょう。学外で働いた方が割のいいバイトはあるかもしれませんが、長い目で見るとお得がいっぱいです。積極的にアシスタント業務をさがして働いてください。後々、経歴にも書けます。

8&9 芸術・スポーツの成績

これは大学院生になってから急にどうこうできるものではないと思うので、捨てポイントとみなしてOKです。

10 ボランティア活動等

これは研究テーマと関連させれそうな活動があればやった方がいいです(たとえば教育学関連の方ならボランティアで子どもの教育支援に携わったり?)。でも、思いつかなかったら無理せず学業に専念しましょう。私も、学部の時には博物館でボランティア活動をしていましたが、修士課程ではコロナで活動できなくなってしまったので何も書けなかったです。

11 その他

よくわかりません。無視していいでしょう。

力を入れるべきポイント

以上のように、力を入れるべきは項目の1(研究成果発表)、6(成績優秀)、7(アシスタント業務)だといえます。とはいえ6と7は落とさないように気をつけるべきで、やり過ぎは禁物です(あくまで研究を疎かにしない程度に)。また、同じ項目内でいくつも業績を重ねるより、いろんな項目(細目)で満遍なく業績をつむ方が賢いです。ポイント加算式とはいえ、同項目内の場合、単純に加算されないことがあります(たとえばTAを掛け持ちしてても1つ分しか加算されないはず)。

一方、項目1(研究成果発表)はやればやるほどいいです。上述の通り、細目をすべてうめれるように取り組みましょう。ここからは細目ごとに解説してゆきます。

1-1 学位論文

この制度に申請する人はすべからく修士論文(博士論文)をもっているはずで、差をつけようがないので腐心しなくていい部分です。とはいえ上述のように項目2のところで学位論文にたいする評価が反映されるので、質的にいいものを書いて提出できるように頑張りましょう。項目6の優秀な成績表と同じく、大学院生として頑張って当然の部分なので、力は抜かず、期待はせずのスタンスがいいと思います。

1-2 研究論文

研究論文はさらに細分して考えられます。というのも、査読なし<国内学術誌×査読付き<国際ジャーナル×査読付きの順でポイント数があがります(理系の場合は、さらにファーストオーサーか否かでポイントが増減します)。私の学問分野では、よっぽど卒業論文の出来がよかったりしない限り、修士課程修了までに査読付き論文が活字になるのはむずかしいという感覚がありますが、掲載決定していることさえ証明できれば業績として書いてもいいので、先行研究レビュー論文など査読付きの中でも比較的取り組みやすいものを修士課程のあいだに投稿しちゃいましょう。査読なしでもポイントは稼げますので、機会があればどんどん書いて出しましょう。

1-3 学会発表

学会発表についても細分があり、国内よりも国際学会での英語等による発表の方がポイント数が高いです。私は、ここも弱い部分でしたが、活字で発表するよりも手軽に(時間的に短く)用意できるので、ぜひ積極的に口頭発表ないしポスター発表をおこなってください。

1-4 表彰・外部資金の獲得

研究発表にかかる表彰や外部資金の獲得にかんしては、ご自身の研究/勉学に関係するものなら何でもいいです。このためにもポスター発表なんかはある程度、数を打っておいた方がいいと思います。ポスター発表には表彰制度を設けてくれてる学会がけっこう多いようなので(人文系は少ないですけど)。あとは、給付奨学金や留学助成とか何か資金を獲得できてたらここに書きましょう。

1-5 学振特別研究員の内定等

これにかんしては、まんまです(他の似たような制度でも書けるかは要確認)。学振特別研究員は若手研究者の登竜門と目されているように、厳しい審査を勝ち抜いたとの評価を受けられるので、採用内定だけでポイントアップにつながります。特別研究員として経済的に安定するだけでなく、修士課程での奨学金を返還免除してくれる(ポイント加算してくれる)というのだから、やっぱり学振の特別研究員は大大大本命で取りにいってほしいところです。

まとめ

以上です。ちょっと雑多な感じになってしまいましたが、とにかく満遍なくポイントを稼ぎつつ研究の質を可能な限り高めてゆくというのが勝てる戦法かと思われます。また結局は、教授陣からの評価が物を言いますので「あの子はよく頑張ってるな」という印象をもってもらえるように、常日頃、積極的に、熱心に、目の前の課題に取り組み、同期の中で頭一つ抜けれるように頑張りましょう。

おまけ:参考ページ

私が申請するにあたって参考にしたウェブページの中には、各項目のポイント数を試算してくれている方もいました。あくまでその方の研究室内等の聞き取りに基づくので正確な数値ではありませんし、大学や学問分野によって(学内選抜時の)評価方法は異なるはずなので、参考程度にご覧になるのもいいと思います。どちらも理系の情報です。

  • 凡才博士のラボライフ研究所さん

https://hakase-life.com/money/syougakukin/141/

  • わしまる大学さん

【JASSO奨学金】返還免除の基準となる業績点数と内定確率を上げるポイント4選【大学院修士/博士】

私がこうしたブログ記事を書こうと考えるようになったのも、上記のような情報に助けられた経験からです(JASSO返還免除制度だけでなくいろんな情報を発信してくださっています。この場を借りて御礼申し上げます)。分野は違えど参考にできる点は多々ありますので、当ブログの読者の皆さまも、ぜひ情報化社会の利便性を存分にご活用ください(私も人文系の情報発信者として頑張ります)!

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