今回は、日本学生支援機構の「特に優れた業績による返還免除制度」(以下、JASSO返還免除制度)について解説します。
前半と後半に分けて書きます。前半は、返還免除制度とは何ぞやという人向けの概要的な記事で、後半は、これから申請しようと思ってる人向けの対策的な記事になります。
おことわり:対象範囲について
ちなみに私は、修士課程で借りた第一種奨学金が半額免除になりました。この記事は、その経験をもとに書いています。博士課程修了時の申請や返還免除内定制度にかんしては詳しくわかりかねますので、公式ページをご覧ください。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/seidogaiyo/index.html
目次
- おことわり:対象範囲について
- JASSO返還免除制度とは
- 申請の時期:確認すべきタイミング
- 趣旨:公式ページより
- 選ばれそうな人物像
- ライバルは身近な同期
- 頑張りを形にのこそう
- まとめ
- おまけ:博士課程ではマストじゃない
JASSO返還免除制度とは
JASSO返還免除制度とは、ざっくり言うと、大学院(修士課程ないし博士課程)で借りた第一種奨学金をチャラにしてくれるありがたーい制度です。私立大学でも国公立大学でも推薦できる学生の数は決まってるので、とりわけ私立大学や地方大学の方は狙い目です(国立大学は内部競争が激しく推薦対象にすらなれないこともあるとかないとか…)。
申請の時期:確認すべきタイミング
申請のタイミングは、課程修了の少し前(1月頃)です。場合によっては進学の前後で内定者を募る「返還免除内定制度」が導入されていることもあります*(各年度に中間評価があり、成績不振の場合は取り消されるかも…?)。なので、当該課程に進学する前と修了する前にチェックするようにしましょう。また、前もって評価項目を確認しておくことで、大学院で学ぶあいだにどんな業績をつんでおけばいいのか、自身の研究計画を練る際にも参考になると思うので、早めに目を通しておくことをおすすめします。
* たぶん修士課程では少ないと思いますが、募る場合は前年度に内定者を決めるようなので進学前(試験合格後すぐ)に問い合わせておきましょう。もし読者の中で、時すでに遅し…という方がいても貸与終了時に申請すればOKなので、しょげないでください。ただし貸与終了時の申請を逃してしまうと、もうどうにもならないので、うっかりにはくれぐれもご注意ください。
趣旨:公式ページより
それでは、まず公式ページから概要を引用してみましょう。
Point! どの申請にも共通することですが、応募要項に書いてあることはめちゃくちゃ大事です。私は、申請するか検討する時だけでなく、申請書を作成する前、申請書を提出する前の最低3回は読み込むようにしています。
大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。
ここから、大事な部分のみまとめなおすと…
- 対象者:第一種奨学金を貸与した大学院生のうち優れた業績をあげた人
- 審査フロー:各大学による選抜→日本学生支援機構による審議
- 評価ポイント:学業/研究にかんする業績+課外活動にかんする功績
選ばれそうな人物像
他の一般的な申請と異なる点として、評価ポイントが課外活動にも及ぶ点がこの制度の特色かなぁと思います。よって個人的解釈としては、授業を真面目一徹に受けた優等生よりも、いろいろなことに幅広く挑戦し、何らかの成果物をのこした学生が評価されやすい、と考えます。
ライバルは身近な同期
推薦する候補者をどのように決めるのかは大学によりけりでしょうが、おそらく各研究科から数名というかたちで配分するところが多いと思います。よって、他研究科の学生の状況に目を配るよりも、身近な同期に負けないようにポイントを稼ぐことに専念しましょう。そういう意味で、どれくらいの業績が必要か、一般的な値を示すことはできません。たまたま自分の同期の中にめちゃデキる奴がいるなら引き離されないように頑張らなきゃいけないし(その人をまねて業績を積みましょう)、そもそも同期が存在しないとか、いても第一種奨学金を借りてる人がいないとかなら、そこそこの頑張りで推薦枠に入れるでしょう。
頑張りを形にのこそう
日本学生支援機構による審議にかんしても詳細はわかりませんが、候補者と認定者の差があまり多くないことから(令和5年度の場合、候補者7005名のうち6809名を返還免除者に認定)、基本的には各大学の推薦を追認するかたちなのでしょう。つまり、大学の推薦枠に入れさえすれば、免除はほぼほぼ確実です。とはいえ、約200名の認定してもらえなかったゾーンも存在します。これにかんしては、同期の中に競り合うライバルがおらず、かつ、これといった成果物がない方なのでは?と私は想像しています。日本学生支援機構の審議にかかわる方は99%見ず知らずの他人なので、成果物がないことには、あなたの頑張りを評価しようがありません。同期にライバルがいない方も、すんごい成果じゃなくていいので、頑張ったことを可視化できる「形」にして、1つでも多くの成果物をのこしましょう。
まとめ
以上をまとめると、JASSO返還免除者に選ばれそうな人物像は、第一種奨学金を貸与した人のうち、身近な同期よりも優れた業績をおさめた人=成果物をのこした人といえます。どうですか。ちょっと自分でもいけそうな気がしてきませんか。修士課程で借りられる第一種奨学金は2年満額で211.2万円です。半額でも105.6万円が免除されるので、ぜひ申請してみてほしいです。
おまけ:博士課程ではマストじゃない
それから最後になりましたが、博士課程のJASSO返還免除制度を私があまり視野に入れずにこの記事を書いた理由について述べておきます。まず、私はそもそもの申請資格がありません。というのも学振の特別研究員は、日本学生支援機構の奨学金を借りられないというルールがあるためです。学振以外の似たような制度だと、借りられるケースもあるようですが、その場合は返還免除の対象者から除外されるとか、なんせ二重取りはできない仕組みになっています(理研のリサーチアソシエイトを除く)。
たとえば返還免除内定制度を活用して博士課程に進学し、全額免除を勝ち取れば、ひょっとすると学振もどき1本よりも総額的には大きくなることもあるかもしれません。だけど、私的にはやはり博士課程では、学振の特別研究員>学振もどき>返還免除の順でメリットがあると考えます。学振は、月々もらえる研究奨励金以外にも科研費が使えるので、用途は限られるものの扱える金額は1番大きいはずです。学振もどきは金額的には劣りますが、どちらも経歴ないし競争的資金の獲得として後々まで履歴書を彩ってくれます。また、これらの特別研究員の申請を通して、研究者として生きのびるためのスキルも鍛えられるはずです。よって、まずはこれらの申請を目指し、その上でダメだった…という場合に、保険として、JASSO返還免除制度を博士課程でも活用すればいいと思います。
では、今回はこのへんで。後半の記事では、評価ポイントにかんする解説を中心に取り上げたいと思っています。

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